相棒
東京へ単身赴任してから早や8年が経過、その間、いろいろな出来事が有った中でも人生初めての入院を経験した事を思い出す。
急に視界が見えなくなり、町医者へ行き、そのまま緊急入院、その時に私と一緒に住んでいた相棒が盲導犬の役割を担い、病院へ一緒に同行して貰った。
その待ち時間の長さの間、彼は、待合室で耐え難い時間をどう費やしていたのかは未だに聞いていない。おそらく彼の事なのでゲームをしていたのだろうと推測する。
あれから3年の月日が流れ、今でもその相棒と仕事を含め、一緒に共同生活をしています。
朝のウォーキングに出掛ける際に、彼の部屋を通ると小鳥のさえずりとまではいかないが、今では馴れた心地よいイビキの音がさえずるように聞こえて来ます。
俺は、生きているんだという証のような感じで、安心するが、たまに聞こえないと心配になり、部屋をそっと覗くこともあります。
彼は、お腹を出したままで眼鏡を掛けて寝ていることが多い、これ以上の事は個人情報に触れるので言わない。
彼は、仕事中に難しい局面になれば、預言者のエドガー・ケイシーのように未来の扉を開いて見ているかのような瞑想をする時がある。
後ろから見ると頭が左右、上下に動きながら たまに唸る。。。。。イビキかも。。。。と思い、彼の名前を呼ぶとはっと気づいたように現実の世界へ戻ってくる。
理由を聞くと彼は、いつも思案中だったと言う。やはり普通では考えられない超能力者だと実感してしまう。
神は、乗り越えられない試練は与えないと言うが、彼が行く先々でネットワークがつながらないなど様々な出来事に遭遇する。
そんなな中、先日、彼がぽつりと「何で先々でこんな事に遭遇するのか」とぽつり独り言、弱音のような事を言っていた。
私は、彼に厄払いをしたらと言って見たが、その後の彼の一言が「今、起こったので原因が分かって良かった。後で障害の電話での呼び出しがされずに済んだ 。」と言っていた。
この一言が彼の性格をすべて表しているような私の相棒です。
彼の行く先々で困難な事があってもそれに立ち向かっていく強い精神力と後悔、反省という言葉は彼に似合わない、常に前進あるのみの前向きな性格に驚くばかりです。
彼を褒めるとすれば、彼の笑顔は100万ドルに値するほどの価値があります。
一度、お会いした方は、分かるはずですが、大きな目でにっこりした笑みを見れば、叱りたくても叱ることができなくなります。